COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
-always.-
*
いつもの帰り道。
けれど心なしか足取りは重い。
それもそうだ。
週末のホームパーティーの為に、オードブルの注文に行かなくてはならない。
あまりにも日にちが迫ってしまっても、彼に迷惑がかかってしまうので
開催が決まった今日、その足で来ているわけだけれど。
それにしても、理央の様子も気になる。
けれど今回は昭香先輩の言う通り、彼女に任せることにする。
ホームパーティーの準備、それが今の私に唯一出来る事だ。
皆の心からの笑顔が見られたら。
その一心で、今にも回れ右をして逃げ出してしまいそうな心を奮い立たせた。
路地に入ると道路へ優しく漏れ出した光が目に入る。
いつもならそれを見ると、心が安らぐ。
でも今日は、その光に心臓がうるさく高鳴った。
私を抱き締めた大きな身体、好きだと囁いた声。
それを思い出すだけで、かあっと顔が熱を持つ。
動揺した心を落ち着けるように、ゆっくりと深呼吸した。
大きなガラス張りの店内を覗くと、イートインスペースに女性の二人組がいた。
その傍には、談笑する彼の姿。
照れくさいのか、少し顔を赤らめて笑うその姿に、きゅっと心臓を掴まれたように痛む。
それと同時にお腹の底に渦巻く感情。
私はこの感情の名前を知っている。
嫉妬、しているんだ。