COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「はい、トマトジュースか炭酸水しかないんだけど…」
ソファに座る彼の隣に腰かけると、冷蔵庫から出してきた飲み物を差し出す。
『あ…じゃあトマトジュース…
じゃなくって!』
起き抜けで回転が遅くなっていた頭が徐々に動き始めると、
彼が言わんとしていることはすぐに想像できた。
『…いつもその恰好で配達とか…受け取ってるんですか?』
「まさか。
今のは春田くんだってわかってたし」
『俺でも駄目ですってばっ!!』
勢いよく上げたその顔は、真っ赤になっている。
そのくるくると変わる表情が可愛らしくて、つい見入ってしまう。
「駄目なの?」
『いや!駄目ってそういう意味じゃ…いや、そういう意味ですけど…』
彼のその支離滅裂ぶりに、遂に堪え切れなくなった私は吹き出した。