COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE MACCHIATO
*CAFE MACCHIATO 《昭香》
休日の駅構内、賑わう人たちの熱気のせいもあるかもしれないが、
肌に感じる空気は確かに夏の気配を含んでいる。
行き交う人混みを縫うように歩きながら、私は待ち合わせの為にある場所へ向かっていた。
理央からそのメッセージが届いたのは、昨晩のことだった。
《明日、優香先輩の家に行く前に少しお時間ありますか?》
そのメッセージを目にした時、
恐らく彼女がここ最近様子がおかしい“原因”についてだろうと私は直感で感じた。
ここ最近、理央の様子がめっきりおかしい。
ついこの間の勇太とのやり取りを見る限り、恐らく二人の間に何かしらあったのだろう。
理央は一見、我慢や挫折を知らない楽天家という風に見られがちだけれど
実は根のしっかりした、我慢強くてとっても堅実で努力家な一面を持っている。
楽天家というのは…あながち間違っていないのだけれど、いい風に言い換えれば
とてもポジティブで平和主義。
そんな彼女があそこまで落ち込む姿を、秘書課の面々はこれまで一度も見たことがなかった。
そんなこともあり、どうしたものかと思いつつ
踏み込むタイミングを見計らっていたところだったので、彼女からのその誘いは願ってもないチャンスだった。