COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

*

15時になると、30分の小休憩がある。
その時間に合わせて皆の分の紅茶やハーブティーを淹れる。

フレーバーはその日の天候や仕事内容、皆の調子を見ながら変えている。
何気ないことだけど、私なりのこだわりだったりして。


今日は朝から理央ちゃんが荒れている。

少しでも気持ちが落ち着くように、今日はアールグレイ。
カモミールも捨てがたかったが、今日は朝活で
焼いたお茶菓子もあるので紅茶にした。


”『美味しいって言ってくれるといいね』”

朝の昭香さんの言葉がフラッシュバックする。

そう、本音はある人を思い浮かべて作った。

紅茶とお茶菓子を持って、まずは伏屋室長のデスクへ向かう。

『浄心さん、ありがとう。…お菓子は手作りなのかな?』


「はい、そうです」

『浄心さんは相変わらず何でもできるんだね。
どうもありがとう』

そう言ってふわっと笑う。


…頑張ってよかった。
嬉しくてつい顔が笑ってしまう。

”室長に食べてもらいたくて作りました”
優しい笑顔を見つめながら心の中で言う。


『?』

彼は紅茶に口をつけながら、不思議そうにこちらを見た。
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