COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

*
目を薄っすらと開くと、いつもとは違う景色が目の前に広がる。

透けたカーテンから入る朝日の微かな光に包まれて、
部屋の中は夜の表情とはまた違う、まるで夜明けのような独特な空気に包まれていた。

時が止まったような静寂の中、私を背後から包む体温に気付く。

「…起こしちゃった?」

顔だけで後ろを振り返ると、愛しい彼の顔が間近にあった。

私の人生の中で一番幸せな朝かもしれない。
そんな事をぼうっとした頭で考えていると、彼の(かす)れた声が降ってくる。

『ううん、大丈夫。

…体、平気?』

まだ微かに体の芯に残る熱。
好きだと呟く彼の声が今もまだ耳に残っている。
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