COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
鍋の中で具材が煮える音。
包丁がまな板に当たる音。
心地の良い音達に包まれて、彼と二人こうしてキッチンに並んで。
毎日こんな朝が来ればいいのにと、心から思った。
『花緒…、
一緒に暮らそうか』
まるで私の心の中を読んだようなタイミングで呟かれたその言葉に
弾かれるように彼の方を見ると、同じようにこちらを見つめる彼と目が合う。
これまでのどんな眼差しもそれには敵わない程、優しくて温かい眼差しを私に向けた。
彼の気持ちがこんなにも真っ直ぐに伝わってくる。
ただそれだけの事なのに、私の胸はいっぱいになった。