COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
《起きてるか?》
慣れた手つきでそれに返事を打っていく。
「お、きてます…、と」
打ち終えると、瞬時にそのメッセージに開封マークがついた。
再びスマートフォンを床へ置くと、立ち上がる。
彼の返事は恐らくここから数分後。
短くてさっぱりとした文面にも関わらず、毎度こうして若干のタイムラグがある。
打つのが苦手なのか、よっぽど内容を思案しているのか。
けれどそれもマイペースな彼らしいと思う。
背筋を伸ばすように大きく伸びをすると、窓の外に視線を動かす。
晴れ渡った空を見つめながら、昨晩の電話を思い出した。
「あ…はい、日比野です。昭香先輩の電話ですが…」
『うん…、わかってる』
そう笑い混じりに言った彼の声は、とても優しくて、そして甘かった。
『…明日会えるか?』
まるで私を安心させるように柔らかい声でそう言った彼の声を思い出す。