COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
そして勢いに任せて突き放すような事を言った私を、一言も責めたりせずに
ただひたすらその優しい声で受け止める彼を、
やっぱり好きだと思った。
そして今日。
少し予定は変わってしまったけれど、ずっと楽しみにしてきたその約束の日。
立ち上がり、クローゼットを開くとお気に入りのワンピースに触れた。
これを着ようと決めた日から、一着だけこうして表を向けて掛けてある。
彼を突き放した日も、こうしてこのワンピースを眺めた。
私の想いを物語るようにずっとここに在り続けたそれに、静かに声を掛ける。
「…お待たせ」
その時、背後でメッセージの通知音が鳴った。
振り返り、床に転がったスマートフォンを手に取る。