COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
上京してきた時、この電車から見える景色に心底惚れ込んで、城南線沿いに住もうと決めた。
けれど、そのおかげで今こうして彼との待ち合わせに向かっている訳で。
風が吹けば桶屋が儲かる、ではないけれど、それもこの景色が齎したと思えば
目に映る全ての景色がいつもより愛おしく思えた。
改札を出ると、前に待ち合わせした時とはまるで違う景色が目の前に広がっていた。
噴水の周りにはその周りに沿うようにレトロな街路灯が灯っていて
オレンジ色の光が温かく辺りを照らしている。
「わぁ…すごい、綺麗…」
思わず感嘆の声が口から漏れてしまうほど、その景色は美しくて
ここが日本であるということを忘れてしまいそうだった。
きっと、有松さんもこれを見たら驚くだろうな。