COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
彼は何かを考えるように目を伏せると、甘く焦れったい沈黙が二人を包んだ。
『…やっとだ』
「え?」
彼の口から呟くように発せられた声が、沈黙を静かに破る。
『やっと、お前に振り向いてもらえた』
二人の間を再び優しい風が吹き抜ける。
その言葉に何だか気恥ずかしくなり、思わず握られた手に視線を落とした。
「あ、あの…」
『ん?』
ずっと気になっていた。
どうして有松さんは、私の事が好きなんだろう。
聞くなら今しかない。
意を決して口を開く。
「どうして有松さんは、私の事…」