COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

-harenohi-


*

それからどの位経っただろうか、少しだけ勢いは衰えたものの雨は一向に止む気配を見せない。

薄着な上に、濡れた洋服が体温をどんどん奪っていく。

段々と吹く風が恨めしくなってくる程に、随分と身体も冷えてきた。

『日比野』

「はい?」

『家…来るか?
服、乾かした方がいいだろ』

彼の言葉に思わず思考が固まる。

…彼の家に、行く?

けれど、少し考えるとその言葉の真意は簡単にわかった。

両腕を抱き締めるように置かれた自分の手。
寒さを紛らわそうと自分でも気付かないうちにしていた行動に、彼は気付いていたのだろう。

「あ…、でもそれなら…」
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