COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「いや…っ、何か全体的に有松さんって可愛いっていうか…」
『…なんだよそれ』
突然笑い出した私に怪訝な顔をしながら、彼は背中をソファへ体を預ける。
「いや、本当に…っ」
ひとしきり笑い終えると、彼の顔を覗き込んだ。
「そういうことろもいいなって」
至近距離、目が合うとまるで二人の間に流れる時間が止まったかのように静寂が訪れる。
「…あ、有松さん?」
『あ、いや…男に可愛いは駄目だろ』
そう言い放つと彼は視線をぱっと外した。
リアクションこそ薄かったものの、明らかに彼の表情からは動揺が見て取れる。
確かに男性に可愛いというのは褒め言葉には当たらないのかもしれないけれど
らしくない彼のその反応はどう考えても不自然なものだった。