COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
這いつくばるようにガラステーブルへ向かうと、上に置かれたリモコンへ手を伸ばしテレビをつける。
映し出されたサスペンスドラマをぼうっと眺めていると、スマートフォンのメッセージ受信音が鳴った。
手を伸ばしベッドに置かれたスマートフォンを手を取る。
「…楓」
画面に映し出されたメッセージに思わず身体が強張る。
《忘れ物、返したいんですけどどうしたらいいですか?》
楓の家に忘れ物をした覚えはない。
記憶の端々を慎重に思い返す。
同時に思い出す楓との思い出に、胸が痛くなる。
「あ……、ピアス…」
楓が私に好きだと言ったあの日、耳に触れた彼の手の感触を思い出した。