COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
《ごめんね。
いつでもいいよ、会社でも郵送でもいいし》
捨ててくれと言う事も出来た。
けれどどうすれば彼が一番傷付かずに済むのかと考えたら彼に 委ねることが最善に思えた。
いつだって私を想って、傍にいてくれた人。
気持ちを返す事が出来なくても、これ以上楓を傷付けることだけは絶対にしたくない。
メッセージを送信して 項垂れていると、すぐに彼からの返信が来た。
《今から最寄り駅まで来られますか?》
“最寄り駅”
それが彼にとっての、距離の取り方なのだろう。
それを見た瞬間、心の中に一瞬生じたのは寂しさなのか、安堵なのかはわからなかったけれど
どちらにしろ二人にとっては最善の方法なのかもしれないと思った。
《わかった、また連絡するね》
簡潔に返事を返すと、ふと壁にかけられたカレンダーを眺めた。