COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

「本当にいいって」

『待って!ストップ!!』

春田くんは私の言葉を塞き止めるように、目の前に手をかざした。

『いや、すみません。

僕の言い方がまずかったです。
要するに、彼女からお金取るわけないでしょってことですよ』

彼は困ったように眉を下げて笑うと、更に続けた。

『俺、本郷さんと付き合えてかなり舞い上がってるんで…。

特別扱いさせてください』

そう言った彼は恥ずかしそうに視線を彷徨わせる。

静かに訪れた静寂にゆっくりと彼を見上げると
彼の大きな手が遠慮がちに私の手を優しく握った。

私をまっすぐに見つめる真剣な眼差しと、二人の間に生じている緊張感。

そしてこのどこか不自然な“間”。
私はこの感覚を知っている。
< 419 / 449 >

この作品をシェア

pagetop