COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「本当にいいって」
『待って!ストップ!!』
春田くんは私の言葉を塞き止めるように、目の前に手をかざした。
『いや、すみません。
僕の言い方がまずかったです。
要するに、彼女からお金取るわけないでしょってことですよ』
彼は困ったように眉を下げて笑うと、更に続けた。
『俺、本郷さんと付き合えてかなり舞い上がってるんで…。
特別扱いさせてください』
そう言った彼は恥ずかしそうに視線を彷徨わせる。
静かに訪れた静寂にゆっくりと彼を見上げると
彼の大きな手が遠慮がちに私の手を優しく握った。
私をまっすぐに見つめる真剣な眼差しと、二人の間に生じている緊張感。
そしてこのどこか不自然な“間”。
私はこの感覚を知っている。