COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
けれどそれがいつも通りの彼ではない事くらい、私にだってわかる。
その横顔をじっと見つめていると、こちらを見た彼と再び目が合う。
けれど彼はすぐさま視線を泳がせるように目を逸らした。
『えっと…、どれにします?』
「そうだね…どれにしようかな」
そう言ってガラスケースを覗き込むようにぐっと顔を近付けながら
頭の中では、脳内の隅々まで浚うように必死に言葉を探していた。
何か、言わなくては。
どう伝えれば、彼に嫌な思いをさせずに上手く伝わるだろうか。
こういう時に限って咄嗟に言葉が出ない。
「あのね、春田く」
彼を振り返ろうとしたその時、
視界の端に何かが映ると、身体が強い力で後ろに引かれた。