COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
気付けば後ろから抱き締められるような格好で、彼の腕の中にいた。
「春田くん…?」
『少しだけ…
こうしててもいいですか』
彼の掠れた声が身体中に響く。
けれどいつもの彼とは違う、どこかせつなげな声。
彼の温度を直に感じながらも、声色からはその表情は全く読めない。
こんなにも近くにいるのに。
誰よりも大切にしたいのに。
彼が今何を考えて、何を思っているのか私にはわからない。
目の前にまわされた彼の腕にそっと触れると、その腕は静かに私を抱き締めなおした。
こうしていつも自分の無力さに自己嫌悪を繰り返すばかりで、私はいつまで経っても成長しないままだ。
私は、本当に彼の隣にいてもいいのだろうか。
更に近くなった彼の香りに包まれながら
昼間の昭香先輩の笑顔が頭に浮かんで静かに消えた。
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*SHOGO side