COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
その理由は、簡単な事だ。
彼女を誘う口実が欲しかったから。
こんな事を言ったら笑われるかもしれないけれど、飲食店を経営しているとなかなか休みが取れない事も現実であって、何としてでも彼女との時間を作りたいのが本音だ。
テーブルに広げた新聞の上に肘をつくと、盛大にため息を吐き出した。
しかし、最近の俺はどうかしている。
まさか自分が、こんなにも恋愛にのめり込むなんて想像もしていなかった。
仕事はさておき、趣味に友情、それに恋愛。
これまでの人生においても、我ながらそれらのバランス感覚はある方で、何かにこれほどまでに重度にのめり込んだ経験などない。
仕事に没頭していればまだしも、気付けば彼女の事ばかり考えている。
項垂れるようにテーブルへ突っ伏すと、ゆっくりと目を閉じる。
彼女の一生懸命な姿や、照れた顔。
そして、あの可憐な笑顔。
色んな表情をこれまで見てきた。
容姿が整っている分、一見不愛想で冷たそうに見えるけれどそうではない事はすぐにわかった。
誰より素直で、心が温かい人だ。