COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『明日もあるんですから、帰りましょう』
室長の押しの一声で、
わかりました、と渋々立ち上がると帰り支度を始めた。
昭香さんは会社からすこし離れた場所に住んでいる事もあり、仕事が終わるとすぐに帰ることも多い。
でも付き合いが悪いと感じたことは一度もない。
それも昭香さんの人柄あってのこと。
けれど、やはり考えてしまう。
”こんな風に気に掛けるのは、特別な感情があるのかも”
『あの…』
そんなことを考えていると隣から、か細い声があがった。
そちらを見ると理央ちゃんが申し訳なさそうに口を開いた。
『私その…今日は友達がこっちへ遊びにきていて…
約束してしまいました…』
いつも元気彼女が、こんなにもしゅんとしているとこちらまで心が痛くなる。
「大丈夫よ、理央ちゃん。
たまにしか会えないんでしょう。行ってきて?」