COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―


『上司として、と答えればいいですか?

それとも、男として?

どちらが正解ですか?』


いつもと同じ優しい口調。
けれど明らかにいつものそれとは違う。

ああ、私、やってしまった。

こんな面倒くさいこと言って、嫌われてしまったのかもしれない。

再び視線を落とすと、綺麗に磨かれた革靴が目に入った。


「いえ、すみません。少し気になっただけなので…」

冷静を繕って絞り出した言葉。

私の言葉に反応するようにつま先がこちらを向くと、何かが優しく頬に触れる。
< 58 / 449 >

この作品をシェア

pagetop