COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『おはよう』
理央の肩越しに茶色のウェーブヘアが揺れた。
その人の周りにはまるで空間が違うような。
例えるならば、そう。妖精のような。
「花緒先輩、おはようございます」
『優香ちゃんおはよう』
ふわりと笑う。
エレベーターホールにつくと、ポーンという機械音と共に
エレベーターが到着したことを知らせた。
『…浄心さん、今日もカワイイなー』
『そう?俺は日比野さん派』
声のトーンこそ小さいもののそんなヒソヒソ話が
聞こえてくる。
当の本人たちも慣れているためか、
その声に気を取られることもなくエレベーターへ乗り込む。
25階。
私たちが働くオフィスがある階だ。
エレベーターが開くと焦げ茶のウッド調の廊下へ出る。
この階で降りたのは、私たち4人。
廊下を進む、“秘書課”とシルバーのプレートが掲げられた
ドアの前へ到着した。
そう、私たちは総務部 秘書課で働いている。