COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『おはよう』

理央の肩越しに茶色のウェーブヘアが揺れた。

その人の周りにはまるで空間が違うような。
例えるならば、そう。妖精のような。


「花緒先輩、おはようございます」

『優香ちゃんおはよう』

ふわりと笑う。


エレベーターホールにつくと、ポーンという機械音と共に
エレベーターが到着したことを知らせた。

『…浄心さん、今日もカワイイなー』
『そう?俺は日比野さん派』

声のトーンこそ小さいもののそんなヒソヒソ話が
聞こえてくる。

当の本人たちも慣れているためか、
その声に気を取られることもなくエレベーターへ乗り込む。


25階。
私たちが働くオフィスがある階だ。

エレベーターが開くと焦げ茶のウッド調の廊下へ出る。

この階で降りたのは、私たち4人。

廊下を進む、“秘書課”とシルバーのプレートが掲げられた
ドアの前へ到着した。

そう、私たちは総務部 秘書課で働いている。
< 7 / 449 >

この作品をシェア

pagetop