COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『おはようございます!』

昭香先輩が先頭をきってドアを開くと、それに続くように各自挨拶をしながら入室する。

ベージュとホワイト調にまとめられた室内。
4人のデスクは2人ずつ向かい合って中央にまとめられている。


『皆さん、おはようございます』

部屋の一番奥のデスクに座るニコニコ顔の男性。
伏屋(ふしや)室長だ。

(もとい)くん、今日からお弁当変わるからねー』

昭香先輩が伏屋室長のデスクに視線をやりながら、自分のデスクに鞄を置いた。


『あー、そうなんだ。
浄心さんと日比野さんにお任せした件ですね。
お二人とも、ご苦労さまです』

落ち着いた口調でニッコリ笑う。

物腰が柔らかいというか、無害というか。

このマイペースな室長のおかげで、
オフィスにはいつもまったりとした空気が流れている。

この伏屋室長、前は人事部にいて
とても仕事ができるが冷酷だとか、逆に全然仕事ができないだとか、様々な噂がある。

どの噂もいまいち今の室長からは想像できないけれど。

『あー、私今日は資料作成漬けですよぉ』
理央が口を尖らせながらデスクに腰かけた。

『皆、手が空いたら理央ちゃんを手伝いましょうか』

いつの間にか用意していたお茶を伏屋室長のデスクへ置きながら
花緒先輩がふわりと笑う。


『浄心さん、ありがとう』

『いいえ』

伏屋室長と花緒さんの世界一平和なやり取りを見ながら、本日のタスクに目を落とした。

これが私たちのいつもの朝。
そう、今日もいつもどおり過ぎていく。
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