COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
“『次で降りましょう』”
彼に言われるがまま、電車を降りて人混みを歩く。
さすが週末。
駅の構内はたくさんの人で賑わっていた。
彼のそばを離れないように注意しながら歩く。
もうすっかり歩き慣れたと思っていた人混みも、休日となるとそう簡単にはいかない。
『昭香さん』
すぐそばで声がしたと思ったら、手を握られる感覚。
彼に手を引かれていることをすぐに理解する。
『はぐれそうなので、ちょっと失礼しますね』
徳重くんが振り返りながら言った。
「さっすが王子様」
私がそう言うと、
茶化さないで下さい、と再び私を振り返り
優しく笑った。