COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「チョコレート専門店?」
彼に尋ねる。
私は普段あまり甘いものを食べない。
食べるのは仕事中くらいだ。
不思議に感じたのは、つい先ほどパン屋でその話をしていたから。
『まぁいいから。
付き合ってくださいよ』
そう彼に手を引かれるまま、店内に入ると
雑踏から別世界に入り込んだように静まり返った。
店内は、少し照明が落とされていて
よく耳を澄ますと、ピアノの音色が聴こえる。
高級ホテルのロビーを思わせるイートインスペースは外観から想像していた以上に広い。
お客さんは女性2人組と、50代くらいの夫婦。
そして目の前現れた大きなショーケース。
その中には綺麗に陳列されたチョコレートが並んでいた。