COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

「わ、あっという間に食べちゃった」

そう言って顔を上げると、
彼が肘をついてこちらを見つめている。



『セロトニン。』


「セロトニン?

あの幸せを感じるときに分泌される、アレ?」

彼の言葉の真意を汲み取れずに聞き返す。


私をまっすぐ見つめたまま彼は続ける。


『似た成分がチョコレートにも入ってるんだって。

だから不幸せな人は、チョコレートがとても美味しく感じる』



その表情に、言葉に

全て見透かされている気がした。
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