COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『…僕が、
なぐさめましょうか』
彼がぽつりとつぶやく。
「ちょっと!
誰かに聞かれたら…」
慌てて周りを見回すが、
店内は相変わらずの静寂に包まれていて、私たちを見ている人は誰もいない。
ピアノの音が、真っ白になった頭にじわり、と染み込んでいく。
次に浮かぶのは、“アイツ”の笑顔。
どうしてアイツの顔が浮かぶの?
その答えはもうすでにわかっていた。
こんなにも大きくなっていた気持ちに
なぜ、気付かなかったんだろう。
あの笑顔が私に向けられることはない。
それがこんなにも悲しいなんて。
私、勇太が好きなんだ。