COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『昭香さん』
私を呼ぶ声に顔をあげる。
けれど、お腹の底から吹き出すような感情を止めることができない。
『今どんな顔してるか、わかりますか』
出ましょう、
そう言って立ち上がると、彼は私の手を取った。
手を引かれて歩く道のりも、
全て他人が見ている景色のように感じる。
足も、手も、全て私のものでないようで
少しでも気を抜いたら、その場に崩れ落ちてしまいそうだった。