COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

まだ外は明るいのに、その部屋は暗く

部屋の隅にあるオレンジ色の間接照明が、彼の輪郭をぼんやりと照らした。


彼の唇が私の耳に触れると、くすぐったさに体が反応する。


「徳重く、」


『違うでしょ』

耳から首へと這う柔らかい感触に、今度こそ私は全てを委ねた。



「……勇太…っ」


小さく発したその声に反応するように

太腿の内側をなぞるように触る大きな手。


“彼”がその手で、指で、唇で私に触れる度

どんどん脳が麻痺していく。


私の中が“彼”で満たされていく。
そんな都合のいい錯覚に溺れていくようだった。
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