COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「徳重くん…ありがとう。」
そう言ってベッドを降りようとすると、大きな手が私の肩を掴む。
咄嗟に彼を振り返ろうとしたが、その前に抱きすくめられた。
温かい温度を背中に感じる。
『二人でいる時は、楓って呼んで。
…シてる時は、勇太でいいから』
耳元で囁く声に、先程の行為がフラッシュバックする。
“それ”が終わっても、
私はまだこの甘い誘惑に溺れたままであることに気付く。
勇太を想うと
心の中、私らしくない私が顔を出す。
それさえも受け入れてくれる彼の腕の中の心地よさに、きっと私は甘えている。
溺れて、溺れて、
今は
私が私であることを忘れたい、そう心から思った。
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*BLACK COFFEE