気づけば彼らの幸せはそこにあった
「なんだ、3年って嘘だったのか.......」



少し、青春を味わいたくて制服をきて学校にでもきてみたんだろうか。



「.......つーか、これいつ描いた?」


「んーと、前の3年が自由登校になってたときだから.......今年の二月くらいですね」



気づけば季節がめぐり、俺は最高学年になっていた。



「.......まじかよ。あいつ」


「ん?」



眉を顰める桜井さんに首を傾げる。



「秋奈、高3の冬から現在まで意識不明なんだよ」


「.......は?」



高3の冬からって、2年半くらい経ってんだろ。
しかも、あの時あそこで俺の絵のモデルをしてくれた秋奈さんをどう説明すんだっていうんだよ。



「信じられないかもしれないけど、それが事実」


「.......っ、じゃああの秋奈さんは!?」


「幽体離脱でもしてたんだろうかね.......あいつ、お前のこと好きだから」


「は!?え!?な!?」


「お前、言葉になってねーよ」



可笑しそうに笑う桜井さん。

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