彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
運命の3回戦
県予選3回戦。

相手は県内一の強豪校で全国大会常連でもある商業高校。

正直、ずっと2回戦の対策ばかりしてきて3回戦は「記念」っていう感覚だった。
とくに3年生の先輩たちにとっては、そうだと思う。

先輩たちはなかなか弱い。
上と下の代が人数多くて強いからか、なかなか力を入れて練習させてもらえない代だった。

3年にも一応ピッチャーはいる。
でも、後輩の俺が言うのはなんだけど、「どこも守れないから」だ。

今のところ、試合では俺ばかりが投げていた。

試合前、荒木と後藤が俺のところに来る。

2人は何を言おうとしてるんだろう。

荒木が口を開いた。

「一人で抑えようとは絶対に思うなよ。俺たちだって守備の練習は嫌なほどしてきたんだから、ちょっとは頼れ。」

後藤が頷く。

ああ、当たり前のことを結構忘れていた気がする。
「俺がダメ=負ける」だと思っていたことに気付く。

「うん、ありがとう。」

俺はそれだけ言った。

でも、本当はすごく重かった荷物が肩からドサッと落ちていくのを感じた。

今日はきっとたくさん打たれる。
カッコつけることはおそらくできない。
それでもいいや。

だんだんジワジワと暑さが増してきた。

試合が始まる。
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