彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
ぶっちゃけ安心したあまり、花火の最中は半分寝てた。

本当はぶっ倒れそうなほど眠かったのに、いつもの夕寝を我慢して来てたんだ。

気づいたら終盤になっていた。

やべえ。
寝てるのバレてたかな。
デートの花火大会の最中に寝るなんて、絶対沙和イライラしてたんじゃないかな。

俺と花火見てほしいって言っといて寝んのかよって思うよな。

でもごめん、今日はマジで眠い。
寝たい。
速攻で寝たい。

俺は花火が終わると沙和の手を引いて駅まで直行した。
電車逃すと次は20分後になってしまう。

早く、早く早く早くベッドにぶっ倒れたいんだ、俺は。

明日も8時から部活なんだ、俺は。

荒木や五反田が休んだら許さねえ。

眠すぎて、ずっと無言だったと思う。

そして寝てたから花火の感想も言えない。
言えないから、花火の話題を避ける。

満員電車に押し込まれるようにして、乗る。
みんな汗ベタベタだろうがよ、気持ち悪い。

沙和が明らかに隣のおっさんを嫌がってる。
あからさまだけど、ちょっとした空間を作って引っ張る。
こんなことしか俺にはできない。

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