彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
俺はパンッと手を叩く。

「よし、27日だな。」
「え?私・・・」

沙和はコンドーム絡みだと思ってそうな戸惑いの声で答えかけた。

「ちげえよ。20日行けなかった映画のリベンジだよ。空いてる?」

俺がそう言うと、フワッと沙和は笑顔になる。

「うん、空いてる。」

俺は誘えずにいた映画デートに誘えた。

よし、もうこれでいい。

忘れるんだ、さっきの一件を流すんだ。
もういつもより早いけど飯だ、飯。

「じゃあ決まり。飯食いに行くぞ。」

俺がそう言って立ち上がると、沙和は「うん。」と言って一歩ポンッと弾むように俺に近づいてきた。

その時フワッと髪からいい香りがした。

あ、やばい。

一気に脳を刺激してきた。

めっちゃ好き。

音がするくらい、胸がキュンとした。

ああ、せっかく飯に行こうと決めたのに・・・

至近距離で目と目が合う。

これは、どうしようもなくキスがしたい。

顔を近づける。
唇が重なる。

3回目のキスだ。

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