素直になれない夏の終わり
5 遅めのランチは外食の二人
「ねえ、なっちゃん。お腹空かない?」
「……ん?」
「もうお昼もいいとこのそろそろおやつの時間だしさ、いい加減お腹空いたでしょ?」
「……んー…………」
「……お願いだから聞いて、なっちゃん」
切実な津田の言葉に「うん、聞いてる……」と返しながら、夏歩は読んでいた雑誌をパラッと捲る。
合間にテーブルの上のマグカップを持ち上げて、津田の作ったココアを飲みながら、視線は片時も誌面から離さない。
「じゃあ俺がさっきなんて言ったかちょっと言ってみてよ」
「……ん?……んー…………うん、聞いてる……」
「……やっぱり聞いてない」
悲しげな津田の呟きを聞き流しながら、夏歩はまたパラッとページを捲る。
その瞬間、向かい側から伸びてきた手にがしっと雑誌の上部を掴まれて、阻止する間もなくそのまま抜き取られた。