素直になれない夏の終わり

べ、つに、そんなこと……と思わず口ごもって視線を逸らしたことによって、津田は確信したらしい。


「そんな感じするもんね。なんだかんだ言いながら、結局は俺の言うことだってちゃんと聞いてくれるし。まあ何度言っても聞き入れてくれないこともあるけど。セールスとか宗教の勧誘とか、断れないでしょ」

「ちゃんと断れてます!」


断れていると言うか、話を聞いてしまったらおしまいだという自覚が多少なりともあるので、そもそもインターホンを鳴らされても出て行かない。


「まあ、それはいいとして。とりあえずなっちゃんは、“可愛い”にいちいちぽーっとならないところは凄くいい。花丸あげる。でも、何度も押してこられたら負けちゃうところは改善点だね」

「……何目線なの、津田くんは」

「なっちゃんの彼氏(仮)」


ヘラっと笑う津田を、夏歩は「ふざけるな」と睨みつける。
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