素直になれない夏の終わり
「(仮)ってつけたんだからいいじゃん」
「いいわけあるか!」
ええーと津田は大変不満げな声をあげて、「じゃあなんならいいの?」と夏歩を見る。
迷うことなく夏歩は、「高校時代のクラスメート」と答えた。
「友達ですらないの!?て言うか、もういい加減なっちゃんは俺を彼氏にしてくれてもいいと思う」
「“もういい加減”とか、時間の問題じゃないからね!長く一緒にいれば彼氏になれるシステムなんてうちでは採用してない」
またしても、津田は「ええー」と不満げな声をあげた。
「て言うか、津田くんがさっきから無駄話ばっかりするせいでご飯が冷める!」
「全然無駄な話なんてしてないけど、それはいけないね。温かいものは温かいうちが美味しいんだから。味噌汁、おかわりいる?」
無言でお椀を突き出したら、津田は自分の分のお椀も一緒に持って立ち上がった。
コンロに火をつけたので、少し温めなおすらしい。
「あっ、そうだなっちゃん」
呼ばれたので反射的に顔を上げると、振り返った津田と目が合う。