素直になれない夏の終わり
一応枕元で充電中だったスマートフォンを引き寄せてカレンダーを確認してみたが、今日は休みで間違いない。
それなのになぜ津田はお弁当を作って、楽しそうにそれを披露しているのか。
訝しむ夏歩を見て、「いやだなあ、なっちゃん」と津田は笑みを浮かべた。
「次の休みは空けておいてって言ったでしょ」
ああ……と思わず声が漏れた。
そう言えばそんなようなことを言っていた。すっかり忘れていたけれど。
「今日はね、凄く天気がいいんだよ」
「へー、そう。……だから?」
カーテン越しに差し込む光だけでも、今日は気持ちよく晴れているのだろうとわかる。だからって、寝起きの夏歩の心には特に響かないけれど。
「だから、今日はピクニックデートに行くよ!正にピクニック日和なお天気だからね」
それはそれは楽しそうに、弾むような声音で津田は言った。
「へー、そう。じゃあ、いってらっしゃい」
ヒラっと手を振って再びベッドに横になると、「え?あっ、ちょっとなっちゃん!」と津田は布団を掴んで無理やり引っペがした。