素直になれない夏の終わり

まあ確かに、素直に受け取った結果だとは言ったものの、嫌味っぽい口調でもなかったのに嫌味なのかと聞いてしまう辺り、言うほど素直ではなかったかもしれない。

他の人の前ではそんなこともないのに、なぜだか津田の前では素直になれない自分がいる。

昔から、高校生の時から、もっと細かく言うなら、津田に始めて気持ちを打ち明けられた時からそうだった。いや、そうなった。

もう夏歩もはっきりとは覚えていないけれど、まだ津田が自分のことをどう思っているのか知らなかった、本当にただのクラスメートだった頃は、もっと素直に接していたと思う、……たぶん。


「とにかく、たまにはこんなのんびりした朝もいいよねってことだよ。更に付け足すと、これからは頑張って二度寝をやめたら、毎日こんなふうにゆっくりできるよってこと。先に言っておくけど、嫌味じゃないからね」

「……出来たらとっくにやってる」


と言いつつも、一人暮らしを始めた当初はそれがちゃんと出来ていたのだから、今だってやってやれないことはないはず。

一日の流れが大体把握出来てきた頃から段々と起きる時間が遅くなり、朝ご飯を抜けば二度寝も出来ると気づいた瞬間から、今のような状態になったのだ。

元々料理が得意ではないから、作るのが面倒くさくなったというのもあるけれど。
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