素直になれない夏の終わり
ひとまずスマートフォンを確認してみるけれど、津田からのメッセージが届いていないことはわかっていた。それでも、寝ぼけて見落とした可能性を考慮して確かめる。
「……んー…………」
特に意味もなく唸りながら、夏歩はやはり何のメッセージも届いていなかったスマートフォンをベッドに置き、再びキッチンへと視線を動かす。
そこに、昨日まで当たり前のように立っていた人物が、津田が、今日はいない。それに対する連絡もない。
こんなことは今までなかった。
鍵を手に入れてからはほとんど毎日来ていたし、たまに来られない日があっても、必ず悲しげなスタンプと共にメッセージが送られてきていた。
連絡なしに姿を現さないのはこれが初めてで、なんとなく夏歩は、心がそわそわするのを感じた。
ぼんやりとキッチンに向けていた視線をスマートフォンに落とし、今度はそちらをぼうっと見つめたところで、夏歩はハッとする。
二度寝せずに起きたとは言っても、いつまでもこうしていられる時間はない。