素直になれない夏の終わり

津田が作るものより味が濃い目だなと感じながら味噌汁を飲み、次はご飯へ。

そぼろとご飯を一緒に口に入れて、これはやはりピクニックの時のそぼろだと確信しながらもぐもぐと口を動かす。

夏歩は誰もいない向かい側を見て、次いでその視線をキッチンへと動かし、最後に部屋のドアをぼんやりと見つめる。

たまにこうして一人で朝食をとることもあったけれど、その時は静かでいいな、いつもこうだといいな、なんて思っていた。

それが、連絡がないというだけで、そわそわしたりモヤモヤしたり、何だか心が忙しい。食事にも集中できない。

いつの間にか止まっていた手をハッとして動かし、ご飯も味噌汁も残らず胃に収めたところで、夏歩は食器を手に立ち上がる。いつもは津田がやってくれるけれど、いないのだからここは自分で。

シンクに運んだところで、洗おうかどうしようか迷いながらとりあえずヤカンのお湯を沸かしなおし、茶碗とお椀と箸くらいならそれほど手間でもないかとスポンジを手に取る。

拭くのは帰って来てからにすることにして、洗った物は水切りカゴに入れ、沸いたお湯をココアの粉を入れたマグカップに注いでテーブルに戻る。
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