素直になれない夏の終わり

認めるのは、何だか悔しかった。
夏歩が認めた時に、津田がどんな反応をするのかを考えれば、なおさらに悔しかった。

ベッドに背中を預け、縁に後頭部を乗せて、夏歩は天井を見上げる。見上げるというか、最早睨みつける。

そこに津田はいないけれど、夏歩の頭の中には津田がいた。ヘラっと上機嫌に笑っていた。
それを、夏歩は睨みつける。実際にはいないから、代わりに天井を睨みつける。

しばらくそうして、やがて縁に預けていた後頭部、ベッドに預けていた背と順番に離し、夏歩は立ち上がってキッチンに向かう。

ヤカンのお湯をもう一度沸かしなおし、その間に食べ終えたカップラーメンの容器を片付ける。

マグカップにココアの粉を入れ、沸いたお湯を注ぎ、それを持ってテーブルへ。先ほどまで座っていた位置に戻る。

息を吹きかけて湯気を散らし、一口。続けてもう一口。
ふう……と息を吐いて、そのまましばらく動きを止め、マグカップを持ったまま


「……こんなに悔しい気持ちになるのは、やっぱり好きじゃないからだってことには……ならない、かな……。……流石に、往生際が悪いか……」


ひとりぼっちの部屋で、ポツリと呟いた。
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