素直になれない夏の終わり
布団の中に潜り込んでいるので何も見えないが、とにかく重い。
重すぎて体が思うように動かないが、とにかく動かせる範囲でバタバタもがくと、スッとその重みが引いたのを感じた。
ひとまず状況を確認しようと夏歩が布団から顔を出すと
「あっ、やっと起きた。おはよう、なっちゃん」
ヘラっと笑う津田と目が合った。
「……何してるの」
布団が妙に動かしづらいと思ったら、津田が手をついて抑えている。この分だときっと、足も使っているだろう。
その状態で、布団の端から何とか顔を覗かせた夏歩を見下ろしている。
「何って、全然起きないから、ちょっとこう布団の上からギュって」
なるほどそれであの重みかと納得したところで、夏歩は津田を睨みつける。
元々布団から顔を出して津田と目が合った瞬間に目は据わっていたのだが、そこに更に苛立ちと言う名の鋭さが加わる。
「それ、する必要あった?」
「なっちゃんが今こうして起きてるってことは、あったってことだね。だってアラームでも起きないし、何度声かけても起きなかったんだから」