素直になれない夏の終わり

夏歩はスマートフォンをベッドに置いてのそのそとクローゼットに向かうと、そこから着替えを取り出し、支度をする為洗面所に向かう。

化粧まで終えて戻ってきた頃には、テーブルの上にはすっかり朝食の用意が整っていた。


「ねえ、なっちゃん。そろそろさ、ちょっとずつでも衣替えした方がよくない?昼間はまだあったかいけど、それでも真夏ほどじゃないし、それに朝晩は冷え込むことも増えたし。完全に寒くなってから慌ててやるより、今のうちに半分くらいは入れ替えておくのがいいと思うんだけど」


津田がそう言ったのは、いつものように先に「いただきます」をした津田に目で訴えかけられて、夏歩も「いただきます」と口にしたすぐ後だった。


「半袖で寝るの、寒い時ない?」

「上は半袖だけど、下は長いし」

「それはそうだけど……。でも、衣替えするの面倒くさがって風邪引いたなんてことになったらかなり間抜けだよ?季節の変わり目は風邪引きやすいんだから気を付けないと」


夏歩だってもちろんそれはわかっている。わかっているけれど、面倒くさい気持ちにはどうにも抗えない。
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