【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

「美織、ワイン開けるから少し付き合え」

尊さんが、キャビネットの前で一本のワインとふたつのグラスをを手にしながら私を呼んだ。私はキッチンを簡単に片づけて、彼の元へ向かう。

「構いませんけど、私そんなには飲めませんよ?」

「お前が酒に弱いのはわかってるよ。一杯だけでもいいし飲まなくても構わないから、ここにいて話し相手になってほしいだけだ。疲れているなら無理強いはしないが」

「大丈夫です。私も尊さんとお話ししたいと思ってました」

私は柔らかく微笑んで頷いた。彼が、私に話し相手になってほしいと素直な気持ちを告げてくれたのがうれしかった。

今の私たちはお互いに知らないことが多すぎるから、時間の許す限りたくさん会話をしたいというのは、私も思っていたことだから。

「そういえば美織、明日も休みだろ? 俺も明日は特に用事がないから、式場のホテルに連絡してみたんだ。そうしたら昼頃に担当者が時間取れるそうだから、ふたりで行こう。予定が合う時に少しは打ち合わせを進めておかないとな」

乾杯を済ませ、互いにひと口ワインを味わったところで尊さんが言った。

< 102 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop