【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「そうかもしれませんけど……一生に一度のことだと思うと、なにを選ぶのにも色々と気を遣うじゃないですか」
「……あのな、美織。一生に一度の結婚式を大事に思うのはわかるけど、大事なのは料理でも衣装でもなく、集まってくれるたくさんの証人たちの前で、俺たちがきちんと永遠の愛を誓い合えるかどうかだろ? 式の準備に必死になりすぎて、自分の気持ちと向き合う余裕すらなくなったら意味がない。……だから、いつだって俺をちゃんと見ていろ。半年後、誰にも恥じることなく、俺を愛していると誓えるように」
尊さん……。
私を教え諭す彼の言葉ひとつひとつが、心の琴線に触れる。
思えば彼は、いつでも物事の本質を見失わず、私に新しい気付きや感動をもたらしてくれる。家を出るまでほとんど自分の意思でなにかを選んだり、決断するということのなかった私とは違って、なにに対しても確固たる自分の意思があって、いつも堂々としていて。
「あなたのそういうところ、とても尊敬します。……それに、素敵だとも思い始めています。その……特別な、異性として」
尊さんの反応を見るのが怖くて、彼の方ではなく自分の膝をジッと見ながら私は本音を吐露した。