【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
甘い夜を過ごした初対面からひと月余り経ち、同居を始めてからももうすぐ一週間。
鞍馬家の御曹司で、スカイイーストホールディングスのCEО。容姿端麗でちょっと危険な香りのする遊び人……という上辺の姿の裏にある、段々見えてきた本当の彼に、私は間違いなく惹かれていた。
遠く離れた出張先で私のことを気遣い、心のこもったお土産を用意してくれたかと思えば、甘い独占欲を滲ませたピアスで私を束縛して。
貴重な休日にはこうしてふたりの結婚式のために真剣に行動してくれるだけでなく、不安がる私を彼らしい強引さで励まし、前を向かせてくれる――そんな尊さんの存在が、少しずつ、けれど確実に私の中で大きくなっているのだ。
「美織……」
尊さんがぽつりと私の名を呟く。けれどなかなかその先の言葉を継がないので、なんだか胸が苦しくなってくる。
私たちは本物の夫婦を目指しているのだから、この心境の変化はふたりにとってプラスになるはずだよね……?
そう思いたいけれど、尊さんがなにか言ってくれなければ、不安と緊張でどうにかなりそう……。