【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「はい。だって尊さん、いつも完璧すぎてあまり隙を見せてくれないじゃないですか。そんな尊さんでも、寝顔は無防備なんだなって微笑ましかったです。それに、そんなあなたが見られるのは、妻だけの特権かなーなんて、優越感を覚えたりもして」
「……敵わないな、美織には。映画の途中で寝た男を責めるどころか、ひとりで優越感に浸っていたとは」
尊さんがそう言って苦笑した頃には、シアター内に残っているのは私たちふたりだけになってしまい、慌てて腰を上げる。
「そろそろ出ましょうか。次の上映の準備があるでしょうし」
「ああ。……でも美織、その前に」
尊さんはそう言いかけ、座ったまま私の腕をぐい、と引いた。
「きゃ……っ!」
彼の胸に倒れ込みそうになった私を支えたのは、不意打ちのキス。ぶつかるように重なった唇は熱く、そのままゆるりと開いて私の唇を優しく啄んだ。
「ん、……っ」
甘く柔らかい感触に、思わず鼻にかかった声がこぼれてしまう。
こ、ここ、映画館の中なのに……。
羞恥でのぼせそうになる私に構わず、尊さんは私の背中に大きな手を添えてぐっと引き寄せると、中途半端な態勢だった私を自分の膝の上に座らせ、さらに深いキスを仕掛けてきた。
濡れた舌に口内をまさぐられるとぞくぞくとしたものが背筋を駆け上り、蕩けそうになるのと同時に、背徳感が胸に押し寄せた。