【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

私たちはその後、東京湾の望める公園に移動し、爽やかな海風が吹く中を二人並んで歩いた。日曜だからかカップルや家族連れ、ペットを散歩させる人々の姿も多く、公園内はとても賑やかだ。

映画館で少し眠ったおかげで尊さんの瞳も活力を取り戻していて、可愛らしいキッチンカーが販売しているジェラートを食べたり、大道芸人のジャグリングに拍手を送ったり。歩き疲れるとベンチに座って、夕陽が反射してきらきらと揺れる波を、ふたり静かに寄り添って眺めた。

「尊さん、今日はすごく楽しかったです。お疲れだったのに、一日中付き合ってくださってありがとうございます」

かしこまってお礼を言うと、尊さんも私にならうようにして、ぺこりと頭を下げる。

「どういたしまして。俺も楽しかった。疲れているからって映画館で寝てしまう自分には呆れたが、美織といる時の俺は、たぶんいい意味で肩の力が抜けているんだと思う。猫をかぶる必要も、虚勢を張る必要もない。美織なら、どんな俺でもきっと受け入れてくれるって、安心しきってるんだ。……俺の勘違いだったら悪いが」

自信なさげに付け足された最後の言葉に被せるようにして、私は否定した。

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