【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
「勘違いなんかじゃありません。私は、颯爽とスーツを着こなして出かけていく、朝の戦士のような尊さんも好きだし、意図せず眠ってしまった、さっきの無防備な尊さんも好きだし、家の中で見せる、甘くて過保護な尊さんも好きです。とにかく全部、好きですから」
力説してから彼を見ると、彼は前方の海を見ながら、困ったように苦笑していた。
「お前……映画館でキスするのは照れていたくせに、こんな人の多い屋外でそういう恥ずかしい発言は平気でできるんだな」
「えっ……? あっ、そうですよね! すみません、つい……」
別に大声で話していたわけではないけれど、外で話す内容ではなかったと今さらのように気づいて顔が熱くなった。ああ、穴があったら入りたい……。
「別に謝ることじゃない。ただ……そんな可愛いこと言ってくれるお前にキスしたいって思っても、ここじゃできないなって、歯がゆいだけだ」
残念そうにそう言った彼の横顔に、ドキンと胸が跳ねる。尊さん……今私にキスしたいって思ってくれてるの? うれしいけど、でも。
「ダメですよ……? ここでは」
「わかってる。……家帰ったらな。でも、これくらいならいいだろ?」