【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~
……さっきから、この焼けつくような胸の不快感はなんなのだろう。彼の口からほかの女性の名が出てからずっと、胸をかきむしりたいような衝動に駆られていて……たまらなく苦しい。
「ふたりでいる時に、またあなたの携帯に誰かからの電話がかかってきた時……たとえそれが重要なお仕事の電話だったとしても、私きっと、過去にあなたと関係した女性からなんじゃないかって疑ってしまう。そんなの嫌なんです……」
尊さんはどこからどう見ても魅力的な男性で、彼に心惹かれた女性はおそらく星の数ほどいるだろう。その上今までは自他ともに認める遊び人だったから、関係を持った女性の数も計り知れない。
そんなこと、最初からわかっていたはずなのに……いざその女性本人から電話一本かかってきただけで、こんなに心乱されてしまうなんて。
私、自分が思うよりもずっと、嫉妬深い女だったみたいだ。尊さん、呆れてしまっただろうか……。
醜い心の内をを吐き出してしまい、彼の反応が怖くて視線をそらす。すると、彼は「美織」と優しく私の名を呼んだ。